浜岡原発は、日本に止めを刺すのか [防災]


東南海地震が起きた場合の被害というものは、考えるだけで恐ろしい物がある。

子供の頃に習った、日本の工業の中心を成す、太平洋ベルト地域が完全に壊滅する恐れがあるからだ。

それは地震の被害に加えて、スーパー津波の発生も指摘されており、海岸地域が壊滅的な被害を受ける恐れが非常に多い。

そして、東海地震の震源域とされる、しかも海岸沿いに建てられているのが問題の「浜岡原子力発電所」だ。

静岡地裁は、地震による被害の可能性が大きいとして地元住民が起こした運転差し止めの訴えを、まあ良くも見事にすべて退けた。

この判事団と裁判長の勇気には、心から敬意を示したい。もちろん強烈な皮肉だが。

ある意味、余計な雑音を除いて、「真っ当に普通に」考えると、東海地震が発生した場合、浜岡原発が「絶対に安心」と言い切る方が、非常に困難なことだ。

今回棄却の理由になったこととして、まず、原発の耐震基準が適正である事と、中部電力の安全管理が適切であると言う事が述べられていたが、どう好意的に考えてもそういう結論は出ない。

まず、耐震基準であるが、これは、先に起きた「中越沖地震」で柏崎原発が受けた地震のダメージは、想定されていた耐震強度の2.5倍のダメージを受けていた事から、到底「安全」であると言える代物ではない。

工学的に言えば、強度は2倍~3倍増しに設計すれば安全であるはずだが、浜岡原発の設計が本当にそうなのか疑問だ。

また仮にきちんと設計されていても、施工自体に「ごまかし」があれば、所定の郷土が出ていない可能性があり、浜岡原発はそういう疑惑も囁かれている。

あと、25年も前に作られた(以前は25年が寿命といわれてきたはずだが?)浜岡原発は、経年変化に対してきちんとしたメンテナンスが行われていれば安全であると言うが、原子炉の本体である金属のブランケットは、長年の中性子被爆を受けているはずで、目に見えない無数の「欠損」があるはずで、当然機械的強度は落ちているはずだ。

また中部電力は志賀原発で、制御棒脱落による臨界事故という、一歩間違えればあの「チェルノブイリ」の事故に匹敵する、原発事故としては最も危険な事故を起こしている会社でもあることから、到底この会社の安全管理が適切であると言う判断を下す理由がわからない。

日本の原子力行政は、「まず絶対原発を作って発電し続ける」と「プルトニウムを貯蔵して潜在的な核兵器開発国というレッテル」を持ち続けると言う事が大前提になっており、そこに如何なる危険性が潜んでいても、「無かった事」にして、「絶対に安全です」と国民をだまし続けてきた。

しかし「絶対に安全」な物などこの世の中に存在せず、であるにもかかわらづ「絶対に安全で絶対事故はありません」と原発の稼動を続けてきた経緯がある。

今回の判決で、「早急な運転差し止めは社会的影響が大きく困難ではあるが、危険性があることは事実で、出来うる限り速やかに稼動停止に向けての努力を行うべきだ」と言うものが出れば僕自身は納得がいった(地元住民は到底受け入れ難いが)が、「何も問題がありません」と言われてしまっては、「これは絶対に危ないことを認めたが、ここで運転差し止めの判決を出すと、日本中の原発をすべて止めなくてはならず、政治的判断か、圧力でこの判決を出したな」と思いざるを得ない。

政治とは、その実態は民主主義国家であっても、その運営に民意が届く事は困難で、「トップダウン」の形で、「お上の都合」を押し付ける「現実」を選択する物である。

いつ本当におきるかもしれない地震が理由で日本全国の原発を止める「リスク」よりも、「何か起きて被害が出た場合、しらばっくれて、関係者の(トカゲの尻尾きり)で済ます」という選択をする。

また、政治家や官僚だけではなく、差し迫って危険に晒されている地元住民以外の国民は、自分がどれだけの損害を受けてしまうのかと言う「想像」が付かない人の方が圧倒的で、自分やその家族が命を落としたり、日本の経済に壊滅的なダメージを与え、それが最悪食料などの「生活必需品」やエネルギーさえ事欠いてしまうと言う想定で恐れおののいている人もほとんどいないだろう。

この問題は、いち静岡の災害の問題ではなく、日本の将来の命運が掛かっている問題であり、「他人事」で済まされる問題ではない。

一人でも多くの人が疑問を持ち、声を上げて行って欲しい。

「その日」が来てから後悔しないためにも。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。