大きい車は使い難い! [車]

僕はこのブログで、最近の日本車が、不当に大きすぎると何度も非難してきた。
これは、正義感ぶったエコ指向に便乗しているからではなく、「本当に使いにくい」からだ。

かつて、国産車は5ナンバーサイズの呪縛で、明らかにバランスのよくない、そうヒョロッと伸びた棒のようなデザインの車が多く、欧米車(特にアメ車)のように、おおらかでふくよかなデザインの車の方が、カッコよく見えたことは確かだ。

だが、周囲が広大な原野や砂漠の中で使うのであれば、全幅が2mに迫ろうとも困りはしないが、日本の道路事情や駐車場などを日常的に使うのであれば、幅はせいぜい1750mmまでが限界であると実感している。

何年か前に全幅1760mmの車に乗っていたが、国道や高速道路を走る分にはいいのだが、市街地の路地や、田舎道などを通過したり、スーパーマーケットやショッピングセンターの駐車場を使うときなど、必要以上に幅を気にしなければならないことがなんとしても煩わしく、それ以後は5ナンバーサイズの車しか買わないことにしている。

以前も書いたが、トヨタがクラウンにはじめての3ナンバーサイズを設定するとき、日本中の道路や使い勝手を検証して、日本では1745mmまでが、使用上問題の無い限界のサイズであると結論付けた。
それは本当に正しい判断だったはずだが、マーケットはそれよりもはるかに大きい「シーマ」を熱狂的に受け入れてしまったので、以後その話がトヨタから出てくることはなくなってしまった。

まあ、僕的に百歩譲って、そういう大きなサイズの車が存在し。マーケットがあるのなら全面的に否定しないしが、俗に言う「大衆車クラス」まで、必要以上に大きくするのは疑問だ。

これはヨーロッパ、特にドイツ車に顕著で、世界の大衆車の代表たるVWの「ゴルフ」でさえ全幅が1790mmもあるというのはどうしても納得できない。
いくらドイツだからというって、常にアウトバーンを全開で疾走するわけではあるまい。

欧州全体で見れば、いまだ中世の町並みがそのまま残っているところも多いはずで、南欧などの山間地などもけして道が広いようには思えない。

BMWも2002や初期の3シリーズは5ナンバーサイズだったし、ベンツの190シリーズも、日本のマーケットを主眼において5ナンバーサイズに収めたのではなかったはずだ。

まあ、欧州の自動車メーカーも、アメリカ市場への輸出を主眼に置いたからだとも考えられるが、事ドイツに至っては、内燃機関のエンジンを搭載した自動車の最後を迎えるにあたっての、ヒステリックなパフォーマンスの向上の行き着く果ての産物の巨大化と見えなくも無い。

これは、巨大化の行き着く果てに、原因不明の環境の変化についていけず絶滅した「恐竜」に重なって見えてしまう。

ドイツということになると、ナチスドイツが、戦況の劣勢を挽回しようと、主力戦車を巨大化させていき、果ては188tもある非常識までな巨大戦車「マウス」を作り出したが実戦に間に合わず、ナチスそのものが崩壊していった故事にも準えるかもしれない。

当のドイツもそれらのことに気がついてか、サイズの縮小の傾向にある。
これらは「燃費」を稼ぐ為のスモール化が主眼であろうが。

日本ものメーカーもそろそろ目を覚ましてもらい、全部5ナンバーに戻せとは言わないが、せめて「理性的な」サイズまで縮小して欲しいと思っている。

最も世間の「より豪華に快適で、速く」という、もはや無意味な上昇志向が改まらない限り、なかなかうまくはいかないのかもしれない。

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kanchi

こんばんは!

書き貯めていたのですか? 読み応えのある記事を連続掲載されましたね。敬服いたします。

トヨタが3ナンバークラウンのサイズ決定のために調査した話は私も存じていました。やはりシーマ現象の前には調査結果は吹き飛んでしまったのでしょうね~

欧州の場合、特にドイツではヒエラルキーによる車種選択がはっきりしていると感じます。ヒエラルキーを無視した車種選択で後ろ指さされる例は何度も目にしました。

プレミアムブランドであるメルセデスやBMWがボディサイズを大きくするのはアジアやアラブなどの無視できないマーケットに於いて、大きくすることで価格アップの言い訳にし易いという事も原因としてあると考えます。

かつてBMWが7シリーズのストレッチ・ボディを販売開始した際、日本とアラブ限定でした。デカイ=偉い=高価格 という図式が成り立ちやすいマーケットなのでしょう。

一方でゴルフの場合、巨大化したVWの中で唯一ブランド力のある車種が「ゴルフ」だけというジレンマに悩まされていると思います。
シロッコのように消えては甦る車種があったり、パサートのようにデキは良いのに他のブランドに販売数で勝てなかったり、コラードはディスコンですね。そして派生車種にはかならず「ゴルフ」のサブネームを付けて「ゴルフ」の「のれん」で売らないと販売数が伸びません。それ故にゴルフをサイズアップして価格を上げて利益率の良い美味しい商品にしようとする思惑が働いて大型化してしまったのではないかと考えています。
で、従来の「ゴルフ」の顧客がサイズアップ(価格アップ)で離れないようにぽ「ポロ」や「ルポ」が受け皿となるラインナップが形成されたと推測します。

思うに、欧州車は他エリアのマーケット用にサイズアップを繰り返し、欧州マーケット用には常に従来サイズの小型車を用意し、それが売れ筋となっているように思います。欧州は建て替え規制などがあって駐車スペースが日本以上に狭いところが多いので、サイズアップすると売れなくなるケースが多いと聞きます。

そういった背景からか、ダイハツやスズキの軽自動車がけっこう売れているそうです。

まとまりのない戯れ言を書き流してしまってすいません。

by kanchi (2009-07-12 23:22) 

戦闘班長

溜まっていたのかもしれません(笑)
発作的に連続投稿となりました。

成る程!。
欧州の自動車事情を肌で知っていらっしゃるkanchiさんのご意見は、「耳年増」の私には本当にありがたいです。
感謝します。

階級社会や、ヒエラルキーによる車選択を、頭から肯定は出来ませんが、日本のように完全にメチャクチャというのも困ったものですよね。

VWがゴルフですべてをまかなわなくなった事情は、スバルがレガシィで販売を支えなくてはならず、ラインナップを増やしざるを得ない事になった事情と通じる物はありそうです。
もっともスバルには、その代わりになる車種を用意する考えも、企業体力も無いという現状が寂しい限りですが・・・・。

しかし中東の要望だったら、いくら大きかろうが、ガソリンを食おうが何の問題も無いですよね。
ランクルのV8が一番売れたのは中東だったという話もうなずけます。




by 戦闘班長 (2009-07-13 19:17) 

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