若者が車を買わないモットモな理由 [車]

つい昨年まで、私は2台の普通乗用車を所有していた。
1台は通勤と日常生活の買い物などの「脚代わり」に使うコンパクトカーで、もう一台は週末のレジャーに使う為の、スポーティーなワゴンだった。

独身の自分にとって、2台の車を所有することは、経済的に「余裕綽々」ではないものの、生活を圧迫するほどではなかったので、気にも留めなかったが、一昨年辺りから、「どうも経済の雲行きが怪しい」と考えていたので、生活費を極力圧縮しようと、自分が好きで買った車を泣く泣く処分して、コンパクトカーも値段が付くうちにと、あわせて、1台の5ナンバーミニバンに買い換えた。

そのとき、改めて一台の車を保有する場合のコストを計算したが、自分はこんなにお金を払って車を維持していたんだなと驚いてしまった。

年間コストは、税金が39500円、任意保険が26300円、ガソリン代がハイオクで、燃費が良くて9km/ℓの車だったので約150000円、エンジンオイルが24000円、車検代が年割り約80000円、その他消耗品やアクセサリー、洗車などの雑費が35000円と、故障もせずに順調に動いていても、何と345800円も掛かっていたのだ!。
もう一台のコンパクトカーはそんなに掛かっていなかったが、年間にして約50万円ほどの費用が掛かっていて、月額にすれば4万円程と、残業代のほとんどが車に費やされていた。

僕の場合絶対車のためにローンは組まない主義だったのでこの程度で済んでいるが、これに購入費のローンが加われば、ほとんど車を乗る為に働いているようなものになってしまう。

車に対して熱い情熱や憧れがあり、車によって享受する豊かさに満足していれば許容できていた「生活コスト」ではあったが、そんな僕でさえ、「何故車を持つだけでこれだけのコストが掛かるのか?」と疑問を持ってしまったくらいだったから、大都市とその周辺で公共交通機関が発達したところに住んでいて、車が絶対に必要ではない人や、車以外のことに人生の楽しみを感じている人達にとって、これはどの生活を圧迫するコストが、許容できるはずは無いのではなかったろうか?

となれば、必要が無ければ車は買わないし、地方など生活の必需品である場合は「仕方が無く」最も維持費の安い「軽自動車」を買ってしまうのは当然の結果だと思う。

してみれば、メーカーや、財源が必要な行政などの思惑に乗って、高い車を買って、高い維持費を払い続けることの方がよっぽど不自然であり、その事に気づいてしまって、車にそっぽを向いてしまった若者の方が、よっぽど「正常」であるといえないだろうか?。

この問題はとっても根が深い。
自動車という物は、単なるメーカーの業績のみならず、その利権が、日本の産業構造や行政、政治に複雑に絡み合っているので、自動車産業の崩壊とは、下手をすると生活の価値観、幸福感の崩壊さえ招いてしまう深刻な事態を招いてしまう可能性が高いのだ。

僕個人的な意見なのだが、もっとリーズナブルに、環境や人間との親和性の高いモビリティが生み出され、楽しい自動車生活を送れない物かと考えてしまう。

そのためには、我々ユーザー自体が、自動車に対して抱く「価値観」「幸福感」を、従来とは別の方向に変えて行かなければならないのかもしれない。




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kanchi

こんばんは!

自動車も高度経済成長期は、ある意味成長に乗っている事を表すシンボル的存在であったと思います。そして周囲より高額なクルマを所有することが社会的成功しめすアイテムの1つであったとも考えます。

故に一種たかりとも思える各種諸税を複数省庁が課しても文句を言いつつクルマを所有し続け、高級車に憧れ続けたのだと思います。

経済成長が停滞し、クルマは背伸びしてまでお金をかける対象とならなくなったのでしょうね。特に都市部では必要性が低いので顕著な傾向だと思います。

こういった傾向に注目して、従来の社会基盤の軌道修正をしないと税収が落ちたままとなってネガティブな方向へますます進むことになってしまうと感じています。

戦闘隊長さんのご意見のように、新しいモビリティの社会を考える時期にきていると考えます。JR北海道のマイクロバスをベースとして開発されたデュアル・モード・ビークルも、その1つであるとも考えますが、今ひとつ進め方が遅いと感じます。
by kanchi (2009-07-12 23:43) 

戦闘班長

そうなんです!、その「たかり」の構造をどげんとしなければ!。
でなければ、地方分権も進みませんよね。
東国原知事や、橋下知事は、わかっているのかなぁ?。

僕が文章にしきれなかった、具体的な内容を御解説していただいてありがとうございました。

DMV(デュアル・モード・ビークル)もそうなんですが、事此処に至ると、文句を言っているだけではなく、具体的な手段を提唱して、意見を集約して、実現化を図らなければいけない段階が迫っていますね。

それこそ官僚には出来ない仕事であり、「政治」のやらなくてはならない使命なだと思いますが。

by 戦闘班長 (2009-07-13 19:26) 

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